
写真は昨年最後に飲んだロッソ・ディ・モンタルチーノ。 あるレストランの棚で長く「ほったらかし」になっていたものです。いわく付きのヴィンテージを渡されただけに、せっかくだからと、ウチのセラーに長いこと寝ていた同じヴィンテージのチェッパレッロをご一緒に。
結果は、と言いますと、
どちらも素晴らしかった。
正直、保管状態から考えてロッソはもうダメかと諦めていただけに、未だに活き活きとした味わいとその香りの深さに、飲んだ全員が驚きました。 サルヴィオーニ。やっぱり凄い造り手です。
敢えて軍配を上げるならサルヴィオーニですが、チェッパレッロのまだ少し硬さが残るもののヴィンテージを反映しての優しい味わいもまた、嬉しい驚きでした。

そしてこの写真は今年最初のロッソ・ディ・モンタルチーノ。
興味が湧いたので開けちゃいました。 良いお正月でした。
ワインの保管について、思うことを少し。
☆ 僕が愛してやまないヴィエ・ディ・ロマンスのワインは、温度が18℃を超える環境で保管すると液漏れするように造られています。 無論これは造り手の意図したことで、売り手にも飲み手にも、最高の状態を保って欲しい、という切な想いが込められています。
☆ あるワイン評論家がこんな実験をしたそうです。
保管温度がワインに与える影響を調べる為に、近年のヴィンテージのナパ・ヴァレーのカベルネ・ソーヴィニョン12本を、6本は常時14℃のワインセラーで、残りは夏場には30℃を超える室内で、どちらも一年間保管したものをブラインドでテイスティングしたのですが、6本ずつ的確にグループ分けできたワイン専門家の多くが興味深いことに、室内で保管した方を好んでいました。
「理想の保管環境というのは絶対ではなく、それよりも個人の嗜好の方が優先される。」
というのがその日の結論でした。(堀賢一著「ワインの自由」より抜粋)
☆ あるインポーターの人の話。
決まった温度で保管されたワインと、理想の温度内でなだらかな温度変化で保管されたワインとでは、同じワインでも熟成のしかたが違っていて、前者はクールあるいはシャープに熟成するのに対し後者は、味わいに温かみを感じるのだとか。
理屈では解明できるはずもありませんが、何となく分かる気がしますね。
東京のレストランでは、あと少しで飲み頃を迎えるワインをしばらく出さずに、保管温度を少し高めにして、ベストの状態になってからサービスする、そんなことをやってのける人がいる、と聞いたのはもうひと昔も前のこと。それがスタンダードになったら、関西のレストラン事情はもっと面白いことになりそうですね。
先頃大阪に支店を出した東京の最高級フレンチのオーナーが、こんなことを言っていました。
「不景気になると 人は冒険をしなくなる。」
そのレストランは連日満席。 「最高級」にもかかわらず、です。
年始の挨拶に代えて、といいながら随分長くなってしまいました。
エノテカビアンキは、お客様に満足を与えられているか? 他の酒屋とどう違うのか? そう自問しながら、恥ずかしくないような仕事に取り組んで参ります。
今年もよろしくお願いします。