~ 攻めのスタイル、その先に ~
「バンフィは扱わない」
そう公言したことはなかったが、創業当初からエノテカビアンキはその姿勢を貫いてきた。
令和4年11月21日までは。
その日、僕は東京にいた。
「バンフィのメーカーズランチとセミナーを行います」
インポーターさんから東京への思わぬお誘いを頂いたのはその1か月前だった。
「思わぬ」と書いたのは、ウチがバンフィを扱わないことを担当さんは知っているからで、
誘われた僕が一番驚いた。
すごいと思わへん?その担当さん(笑)
秀逸なブルネッロ・ディ・モンタルチーノの造り手と知っていながら、なぜ今までバンフィを扱わなかったか。
いくつか理由はあるけれど、その大半は僕自身の誤った偏見によるものだ。
そして、
「バンフィはモンタルチーノにおいて巨大すぎるから」
この一事が、エノテカビアンキがバンフィを今まで扱わなかった最大の理由だ。
でもこれは僕の偏見ではなく、事実だ。
ただ、この事実を今までの僕は<ネガティブ>に受けていた。
それまで慣れ親しんできた小規模で秀逸な造り手が、モンタルチーノにはたくさんいる。
そんな彼らの声を届けたい。だからモンタルチーノには巨大企業は要らんのじゃ~ッ!
っていう<超>ネガティブな偏見ねw
このセミナーを受けて、バンフィへの対し方が<ポジティブ>に変わった。
バンフィのブルネッロ・ディ・モンタルチーノの生産量は多い年で60万本。
ピンとこないかもしれないがウチで扱っているブルネッロの造り手を例に出すと、
リジーニで4万本。
チャッチ・ピッコローミニで6万本。
大企業とされるコル・ドルチャでも22万本というから、バンフィのその巨大さ、わかるでしょ?
(参考資料:イ・ヴィーニ・ディ・ヴェロネッリ2019)
巨大な会社だから、潤沢な資金を研究に充てることができる。
850ヘクタール(!)という広大な畑の土壌分析、
それらの土壌との相性抜群のサンジョヴェーゼに関する研究と選抜、
そして発酵と熟成に使う樽を自ら開発するという凄まじいこだわり。
<高品質をたくさん造る>
これは、「少量の高品質」を造るよりもずっと難事なのは誰もが知るところだが、
バンフィのブルネッロはそれを実現している。
そうして造られた60万本もの高品質は、モンタルチーノという小さな街を世界に知らせるに、大きく貢献したことだろう。これも、巨大な会社だからこそ出来ることだ。
ちょっと前の僕みたいにバンフィに対してネガティブな感情を持った人は少ないだろうけれど、
もし「ベタだから」という理由で敬遠している人にこそ、バンフィのブルネッロ・ディ・モンタルチーノ2017年を飲んでみてほしい。
その香味には確かにモンタルチーノを感じ、暑かった年とは思えないエレガンスを身に纏う。
バランスの良さとそれに伴う安定感は、飲み手はもちろん大喜びだが、サーヴする側にとっても大きなメリットではなかろうか。
リゼルヴァよりも、単一畑よりもブルネッロ・ディ・モンタルチーノを推す理由は、そこなのですよ。
<スタンダード>。
バンフィのブルネッロはそこに位置するように感じた。
ピエロパンもアヴィニョネージもタスカ・ダルメリータもそうであるように。
バンフィは、ブルネッロの<今>を知るうえで重要な造り手であり続けることだろう。
バンフィのこれからについて少し。
数年前に熟成庫を新設した。
そこにはオーストリア、スロヴェニア、ドイツ、それぞれの産地の40HLの大樽を4つずつ導入した。
バリックではなく大樽、フランスの有名な産地のものではなく北欧産。
疑問に感じたから聞いてみた。
「産地と樽の大きさからバンフィのブルネッロは更に綺麗な仕上がりになると想像するけれど、
今後はそうなるの?」
という質問にオンラインでつないだパオロさんからは、「全くその通り」と返ってきた。
新しい樽での熟成を経たブルネッロがリリースされるのは、今から4年後の2026年。
更なるエレガンスへと昇華したバンフィのブルネッロ、到着が楽しみで仕方ないですな。
東京で同席した友人(と勝手に書きましたスミマセンw)との最高に楽しい対話も大いに刺激になった。
そしてこの<アンチ・バンフィ>な男に声を掛けちゃった担当さんの攻めた営業スタイル、好きです(笑)
そんな担当さんにまんまと乗せられ、
というのは冗談で、
造り手の偉大な説得力でもって、遅ればせながらバンフィを扱うことになったのです。
イベントを終えた翌日、いそいそとブルネッロを発注したのは、もう言うまでもないね(笑)
そのわかりやすい発注書を見てクスッと笑う担当さんの声が、聞こえたように感じた。




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