バッカスを巡るワインの旅。最終章
ペルバッコ(perbacco)
辞書をひくと、「驚きの表現、なんとまあ!」と出てくる。
マンマミーア(mamma mia)に似た表現やろか?
僕のイタリア語の先生によると、マンマミーアほど日常では使わないらしい。
バッコ(バッカス)よりもマンマが常用とは、お国柄を思うとクスッと笑ってしまうけれど、
今回のテーマはバッカスやさかいに、per と bacco を分けて考えて、
今日のワインは、<バッカスに捧ぐ>と解釈しよう。
壮年期にエエ仕事したバッカスはやがて伝説となり、人々の心に深く信仰心を植えることとなる。
豊穣の神として崇められ、演劇の題材にもなった。
そうしてバッカスは、人にとって<歓び>の象徴となった。
ワインがそうであるのと同じに。
さてさて今日のワイン、
ランゲ・ネッビオーロ ‶ペルバッコ” 2018 (ヴィエッティ)
を簡単にレポートしよう。
明るめのルビーレッドを呈する。
そして意外にもフルーティな香り。
穏やかな酸を伴った、ネッビオーロらしいフルーツ感。
バローロ・クラッシコの造り手だから成し得る、バランスの妙。
造り手、ルカ・クッラードの、
「中身はバローロ」
という言葉を懐かしく想いだしては遠くを眺めるのでした。
また近いうちに一緒に飲めることを願いつつ、歓びのワインの美味しさに目を細めるのでした。
バッカスを巡るワインの旅。
こんな風にきれいに終えようと思ったけれど、黙ってられないことが決まったので記しておくとしよう。
つまり、ここからは愚痴になるので悪しからず。
さて、
かの国では5月11日で終了する予定だった、<緊急事態>が延長。
それは仕方ない。感染者数が減ってないなら。
問題なのは、「酒類提供禁止」という愚策まで延長となったこと。
この愚策、欧米なら暴動ものだ。
かの国の人々は基本、穏やかだが、怒る時は怒るぞ。
感染の原因が酒によるものだと断定されてもいないのに、こんな愚策をなぜ続けるのか?
そもそもなぜ、検証すらされずに延長するのか?
料理と酒は切り離せないもの。
それは古今東西変わりはない。
この愚策は、ルールを守る人々から歓びをうばい、
ルールを守らぬ人は飲める場所を求め、ただ場所を変えて、街を汚した。
悪いのは酒ではない。
道徳の問題だ。
この愚策が続けられるなら、バッカスによる怒りの鉄槌が振りおろされることだろう。
知らんけどw
僕たちは負けない。
早くなくなることを願うばかりだ。