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毎週月曜日更新♬ エノテカビアンキのブログ。

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イタリアワイン

哲人バローロ、ブレッツァ。その1.


「このバローロは、古典派ですか?新しいですか?」

バローロの話題になるとよく受ける質問だ。
これね、答えるのにけっこう困ったりする。
嫌、というわけではない。
造り手の熱い想いを聞けば聞くほど、
「一概にそう言い切れない造り手がほとんど」
という結論に至りつつあるから、困ってしまうのです。
先日の、ブレッツァのリモートセミナーを受けて、その想いはさらに強まった。

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ブレッツァ。
僕よりも上の世代ならほとんどが知っているであろうクラシック・バローロの代表格。
しかしながら若い世代は、知らない人が多いだろうね。
そういう人たちに、
「こないだ造り手とリモートで繋いだ」とか、
「現地ではバローロでさえもヴィノロック(ガラス製の栓)でパッケージしている」
って話したら、ほとんどの人が<超近代的な造り手>と解釈するだろう。

ブレッツァはラベルにもある通り、バローロ村に1885年から存在する。
そして誰の手に渡ることなく、家族で守り続けている。
現在は4代目のエンツォが当主。
ジャコモ・ブレッツァが1910年、瓶詰めを開始したから、ラベルには彼の名が記されてある。

これだけ永い歴史を持つ造り手だから、ブレッツァもまた、<バローロ・クラッシコ>の造り手のひとりだ。
何度も言うが、バローロ・クラッシコは誰にでも造れるものではない。
昔から複数の良い畑を所有し続けている造り手だけが、造ることができる。
チェレット、ピオ・チェーザレ、オッデーロなど、彼らの造るバローロ・クラッシコはどれも特筆に値する。
<クリュもの>は価格において、バローロ・クラッシコの上にあるから崇められるが、
彼らにしてみればバローロ・クラッシコこそが最も重要なバローロなのです。
だからこそピオ・チェーザレが、<ノーマルなんて言わないで>ってラベルに書いてまでそれを訴えるのですよ。

さてそのバローロ・クラッシコ、複数の優れた畑からのものをブレンドすると先述したが、ブレッツァのそれは、
バローロ村の<カンヌビ・サンロレンツォ>、
ラ・モッラの<フォッサーティ>、
ノヴェッロの<ラヴェーラ>、
モンフォルテの<ブリッコ・サンピエートロ>、からのネッビオーロをブレンドして造られる。
それぞれの長所はそのままに、短所を補い合うことで、完成度の高いバローロへと導く。
そうして収穫されたネッビオーロを大樽で2年、じっくりと熟成される。

もう誰が考えても根っからの古典派。
しかし、このバローロ・クラッシコのパッケージにはコルクを使わずガラス栓の<ヴィノロック>を使用する。
(日本に入荷しているのは天然コルクのもの)
それも2006年からというから、もう15年も前から使われている。
<ヴィノロック>はドイツの製薬会社が考案したもので、
ワインがガラス以外(シリコンパッキン)に触れる割合は全体の、たった3%(!)
他のものにほとんど触れない、そしてブショネの心配がない。
そしてそれらに加えてまだ、コルクと比べて大きな利点があるという。
それは、<外の影響を受けにくい>ということ。
温度差により中身が膨張すると、コルクの場合、液漏れする。ヴィノロックだとそれがない。
また、常に湿度を必要とするコルクと違って、ヴィノロックはそれを必要としないから保管場所の選択肢が広がる。
むろん、ブレッツァは昔ながらのカンティーナに保管されているけどね。
あらゆる観点から、実用に3年もの歳月を要して、このパッケージを採用したという。
すごいことだ。

そしてエンツォはこうも言った。

「伝統派は近代派に近づき、
 近代派は伝統派に近づいた」

冒頭の質問に対する答えに困ってしまうこと、わかるでしょ?(笑)
造り手は常に、良いものを創りたいと考えているのですよ。

内容が相当濃いので、2回に分けるとしよう。
今回はバローロ・クラッシコとそのパッケージについて話したけれど、
次回は<クリュ>について記そうと思う。

乞うご期待♬



by enotecabianchi | 2021-03-29 21:11 | もっと知られるべきワイン。 | Comments(0)