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毎週月曜日更新♬ エノテカビアンキのブログ。

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イタリアワイン

バローロみたいなスプマンテ


アルタランガを、ご存知だろうか。
今急速に人気が高まり、メトド・クラッシコの生産においてフランチャコルタ、トレントに続く第3位の生産量となった。
場所は、アルバの南東に広がる標高250mから800m(!)の冷涼なエリア。
かつては寒すぎて羊や山羊の放牧が最も適した土地とされていた。
そう。温暖化の影響でブドウが成熟するようになった土地だ。

歴史もある。
ピエモンテ州は距離的にも文化的にもフランスに近い。
19世紀、イタリアで最初に瓶内二次発酵のスプマンテが導入されたのがピエモンテなのは、そういった背景によるものだ。
その中心地となったのがカネッリ。
アルタランガは、そのカネッリからアペニン山脈を経てリグーリアに至る丘陵地帯を生産地と定めた。

1990年代からシャルドネとピノネロを実験的に植えはじめ、2002年には78Haだった作付け面積は2019年には300Haを超えた。
この急激な高まりの背景には、偉大なバローロやバルバレスコの造り手たちが、
このアルタランガという地がとてつもないポテンシャルを秘めていることに着目したことが要因の一つだ。
そしてそれら偉大な生産者たちのカンティーナから車でたった30分の距離にそのエリアが広がっているのだから、
生産者が増えないわけがない。
注目されている理由は他に、アルタランガDOCGの規定がある。
まず、ヴィンテージ表記が義務づけられている。
毎年安定した品質でもってリリースすることに重点を置くスパークリングワインでありながら、定めたのは上質スティルワインのそれと同じだ。
そして、瓶内熟成期間を30カ月以上とした。
これは、フランチャコルタ(18か月)やシャンパーニュ(12か月)と比べても非常に長いことがわかる。
生産者たちは、すでに偉大なワインを造ってきた永い経験がある。
だからこそ、厳しい規則を定めて高い品質を目指したのだ。
ラ・スピネッタ、そしてコントラットのジョルジョ・リヴェッティは、自身の所有する標高800mに達するボッソラスコの畑を初めて見た時、
「標高が低ければ、偉大なバローロが生まれる土壌だ」
と言った。アルタランガは、バローロやバルバレスコと同じく石灰粘土質の土壌だ。

このセミナーの先生は、
「テロワールは、気候や土壌などブドウを取りまく環境すべて、といわれるが、
そこには、<人の感性>が必ず存在する。」
と言った。
これ、名言だと思う。
例えば、フランチャコルタのテロワールは、総じて温暖で水はけがよい。
それに加えて造り手や飲み手が華やかでオシャレで人が温かいから、まさにそういったスプマンテができる。

対してアルタランガの造り手は、バローロやバルバレスコの造り手だ。
アルタランガがたとえフランチャコルタのようなテロワールであったとしても、
ワインは彼らと同じには絶対にならない。
アルタランガは厳格なスプマンテ。
誰にでもウケるワインではないし、造り手もそうある必要はないと思っている。
つまり、造りも考え方も、バローロ的なのだ。

ジョルジョ・リヴェッティは、
「3億本造っているシャンパーニュは多くの消費者に気に入られる必要があるが、
生産量が少ないアルタランガはその個性やヴィンテージを深く理解してくれる愛好家に評価してもらえれば充分。
だからこそ自分たちが望むワインを創れるのだ」
と言う。

2020年の生産予想本数は、250万本。
シャンパーニュの100分の1にも満たない。
だが、そんなアルタランガが世界のワインラヴァーから注目を集め、
すさまじい勢いで広まっているのは喜ばしいことだ。
エノテカビアンキのワインリストの表紙に2号にわたって掲載されたのはそういった理由による、のではなく単なる偶然ですねんw
写真はウチで扱うアルタランガのツートップ。

バローロみたいなスプマンテ_d0212522_21193860.jpg

アルタランガ・ミッレジマート・パドゼ 2015 (コントラット)
アルタランガ・エンリコ・チェルッティ 2015 (カッシーナ・チェルッティ)

これからさらに増えることになるだろうね。
お客さんが求めるだろうし、それよりも何よりも、エノテカビアンキはアルタランガのこの味わい、大好きなのですよ。



by enotecabianchi | 2021-03-08 21:19 | もっと知られるべきワイン。 | Comments(0)

by enotecabianchi