アンペレイア。
昼間も涼しい風が吹き始めたね。
今日は自転車で市内を営業。合間、少し緑の香りをと願って靭公園に入った時、空気が変わったのを感じた。
こんな街中にある公園でさえ、はっきりと季節のうつろいを肌で感じられるとは。
緑ってすごいなぁと思ったのです。
心なしか、公園をゆく人がゆっくりと歩いているように見えた。
全ての人に愛される靭公園もまた、すごいなぁ、なんて思うのですよ。
ゆとりって大事よね。
なーんて思いながら、追われるようにレポート第二弾を書き進めるのです!(苦笑)
9月17日(火)、トスカーナはマレンマからアンペレイアのフランチェスコが来日。
ワインがトスカーナなら料理もトスカーナだろぉ?ってことで、心斎橋ジリオさん。
マレンマというと、南トスカーナで、海に近くて、低地で、けっこう暑い、というイメージだろうか。
確かにそういった土地が多いに違いないが、アンペレイアのある「ロッカテデリーギ」は、標高450~600m(!)
もうそれだけでイメージとかけ離れた産地であることが分かる。
このアンペレイアが日本に入ってきた時、僕はこの土地の名を知っていた。
その昔、ワインウェイヴさんが輸入していた <メレータ>という造り手。憶えている人もいるのではなかろうか。
そのカンティーナをトレンティーノの造り手フォラドーリが購入した。
これがアンペレイアの始まりだ。
・歴史的に一度も開墾されていないので自然環境が守られていること。
・高い標高であること。
そして、
・海に近いこと。
上に掲げた条件はフォラドーリが当時願っていた新しいワイン産地の条件だ。
トレンティーノでワインを造っているエリザベッタにとって、「海に近い」ことは必須条件だったそうな。
そして<メレータ>とは<リンゴ>の意。
そう、ここはリンゴが育つのだ。
マレンマとはかけ離れたイメージだが、寒冷地で育つリンゴが植えられていた土地であり、
小麦、オリーヴ、牛や鶏、養蜂など生物多様性がはっきりと認識できる土地。
エリザベッタが惚れ込んだ理由がよく解る。

料理を取り分ける前にこうして料理を説明する。
トスカーナのことが、そして造り手のことが好きなんやなぁと、ホントに思った。
テーブルを囲んでの和気あいあいとした雰囲気ながら、
それぞれのワインのヴィンテージを比較することで、その年の個性や特色を詳細にとらえることができた。
特筆すべきは、全てのワインに共通する、‶飲み口の優しさ” だろうか。
参考になればと、10年以上寝かせておいたアンペレイア2003年を持参して、フランチェスコたちと一緒に飲んだ。
その違いにびっくり!
今のアンペレイアと昔のアンペレイア。
共に素晴らしいワインであるのに誰も異論はない、と思う。まだまだ若々しかったしね。
しかしながらその方向性の違い、これは年月を経ていてもはっきりと解るものだ。
簡単に言えば、2003年のアンペレイアの味わいは、スーパートスカーナのそれに近い。
良きも悪しきも、‟太い” のだ。
同席して頂いた吉田さんの言葉が、全てを物語った。
「良いワインであることは間違いないけれど、飲んだワインがこれなら、ボクはこれを仕入れなかったと思う。」
その言葉に僕は、大きく頷いた。
そしてエリザベッタは、17年の経験を経てようやく、マレンマの地で自身の造りたかったスタイルに到達したと聞いた時、
同じように大きく頷いたのです。
アンペレイア。
ワインの味わいだけならば、好き嫌いが別れるのかもしれない。
でもひとたびお料理が間に入ったなら、造り手の意図がすぐさま誰にでも、理解できるのではなかろうか。
アンペレイアのワインたちは、そういう味わいなのですよ。

~ 業務用イタリアワインなら! エノテカビアンキッ!!次回はバローロの、あの造り手だぁ♫ ~