文化を学ぶ ということ。
ジャンフランコ・アレッサンドリアさんが来日した。
あまり知られていないかもしれない。 かく言う僕も昨日、初めてテイスティングした。
知らない人のために、 ↓
エリオ・アルターレ を中心とした7人の造り手が、同じコンセプトで手掛ける 「リンシエメ」。
ラベルを見たことのある人も多いだろう。
世間ではよくそのメンバーのことを、「バローロ・ボーイズ」 と呼ぶが、少なくともジャンフランコさんは、その呼び名を好ましく思っていない。
時代は移る。 モダンバローロがもてはやされていた時代から、伝統派が注目を集める時代へとシフトしている中、この呼び名がやや皮肉めいていることを、肌で感じ取っているのだろう。
80年代は、質より量の時代だった。
ネッビオーロよりもドルチェットやバルベーラの方が高く売れた。
飲めるまでに時間を要するネッビオーロよりも、すぐにリリースできる品種が重宝されたからだ。
だからその時代、ブルゴーニュのワインは100ユーロで売っていたが、バローロは 3ユーロ程度。
何が違うのか疑問を持ち、ブルゴーニュへ旅立ったのが エリオ・アルターレで、彼は持ち帰った情報を、学びの場を設けて造り手たちへ提供した。
収量を減らす。
バリックの導入。
発酵時間の短縮など、ブルゴーニュからは多くを学んだ。
しかしその一方で、ジャコモ・コンテルノ の造る 「モンフォルティーノ」 を飲んで驚嘆した。
「人はよく、伝統派とモダン派が分かれて、紛争でもしているかのように想像するが、全くそんなことはない。
メディアが大袈裟に報じただけで、それらは日常に溶け込んでいるものだ。
エリオ・アルターレとバルトロ・マスカレッロ はよく醸造のことで衝突したが、
それと同じくらい、食事を共にしていたよ。」
自分たちの歴史と、ランゲの今を、大いに語って頂いた。
だからワインの味わいに関しては、ほとんど語らなかった。
そして彼の口からは、いろんな造り手の名前が出た。
キアラ・ボスキス、ドメニコ・クレリコ、ロベルト・ヴォエルツィオ を仲間と呼び、
尊敬する造り手はと聞くと、
バルトロ・マスカレッロ、ジュセッペ・リナルディ、ブルーノ・ジャコーザ、アルド・コンテルノ、カッペッラーノ と止めどなく出てくる。
最後にこんな質問をした。
「ブルゴーニュからは先に聞いた近代醸造法を多く学ばれたが、
古典バローロの造り手には、何を学びましたか?」
その問いに彼は、
「バローロという、文化を学んだ。」
と答えた。
僕にはこの言葉が、今回のセミナーの「核」を成しているように思えた。
彼のまっすぐな想いは、彼が造るワインの味わいに如実に表現される。
真面目で、優しい味わい。
3月のDMを、お楽しみに!
~ 業務用イタリアワインなら! エノテカビアンキッ!! ビール6杯飲んだ人のトークとは、とても思えんかったわw ~