カーサロステ。

トスカーナは パンツァーノ・イン・キアンティ で上質なキアンティ・クラッシコを造る 「カーサロステ」 から、オーナーの奥さま、エミリア・ドルシさん。
真面目な当主、ジョヴァンニさんの奥さまらしく、熱心かつ上品なお方。
カーサロステ のワインたちと、靭公園の名店 「ラ・カンティネッタ」 のお料理とのアッビナメント~ッ!!

ジョヴァンニ&エミリア・ドルシ は、出身地ナポリから 上質なワイン造りを目指して 1992年、パンツァーノ・イン・キアンティ に畑を購入した。
ジョヴァンニは農学を修めたが ワイン造りはほとんど素人。 だから最初は大変だったそうだ。 奥さまがそう言うのだから、真実味が増すね。
しばらくナポリで教師をする傍ら、キアンティ・クラッシコを造るためにパンツァーノへ戻る という生活を続けた。
7ヘクタールの畑の整備から カンティーナの設備まで、全て最初から始めねばならず、ファースト・ヴィンテージである1993年は、キアンティ・クラッシコとリゼルヴァを造ったが現金化できるのは一年先・・・。 結局 従業員の給料は、使わなかったブドウを全て販売してようやく支払うことができたとか。
この最初の苦労話は、同じく パンツァーノでキアンティ・クラッシコを造る、「レ・チンチョレ」 の ルカ&ヴァレリア夫妻と重なる。
お互い設立当初の苦労が解るからこそ、パンツァーノ の造り手たちは仲が良いんだろうね。
カーサロステには4種類のワインがある。
まず、「キアンティ・クラッシコ」 と 「リゼルヴァ」。
何かと話題の、「グラン・セレツィオーネ」 “ドン・ヴィンチェンツォ”。
そして、「IGT」 の “インヴェルスス”。
どのワインも密度が高く極めて上質。
パンツァーノ産のサンジョヴェーゼと アリエ産のオーク樽との相性の良さを熟知するジョヴァンニの熱意が、そこに宿る。
ドン・ヴィンチェンツォ は、単一畑のサンジョヴェーゼを100%。
酒質が強いのでそれに伴い新樽比率を高める。
「ヴィンチェンツォ」 はジョヴァンニのお父さんの名で、設立当初、資金面での手助けをしてくれた。
そしてジョヴァンニの息子の名も、同じヴィンチェンツォ。 ラベルには二人の横顔、左にお父さん、そして右側には息子が描かれていて、その2つをジョヴァンニのサインが結ぶ、という美しい構図。
「VincEnzo」 の 「E」 が大文字なのはふたりの愛称による。
父は普段「エンツォ」 と呼ばれ、息子は「ヴィンチェ」 と呼ばれていて、「E」 を大文字にすることで その名前が一人ではなく二人を指していることを強調する。
カーサロステのフラッグシップ と呼ぶにふさわしいワイン。
だが、このワインの誕生に不満を漏らしたのが、ひとりいた。
次男のフェデリーコだ。
「どうして僕のワインがないの??」 というわけね。
そうしてできたのが、トスカーナ IGT の 「インヴェルスス」。
インヴェルススとはラテン語で 「逆」 の意。
これには2つの理由があって、ひとつは 品種構成によるもの。
キアンティ・クラッシコ は、サンジョヴェーゼを主体にメルロをブレンドしているが、こちらはメルロが主体、そこにサンジョヴェーゼがブレンドされる。
つまり、キアンティ・クラッシコ とは 「逆」 だ。
もうひとつの理由は、フェデリーコが持つ疾患に由来する。
「SITUS INVERSUS(内臓逆位)」 という病で、一般の人とは内臓の位置が 「逆」 なのだそうだ。日常生活に問題はないものの、そういう彼の疾患から名付けられた。 ラベルの指紋は、そう、フェデリーコのものだ。
そんなことをあれこれ、エミリアさんはゆっくりと話してくれた。
こんなにストーリー性のある造り手も珍しい。
味わいとエピソードを知れば、もっと売れるはずだ。
ここでは記せなかった事もたくさんあるから、頑張って広めていきましょか!
~ 業務用イタリアワインなら! エノテカビアンキ!! 造り手との距離を、縮めよう ♬ ~
by enotecabianchi
| 2016-11-25 21:36
| 造り手との食事。
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