リボッラ・ジャッラ の伝道師。

造り手さん、来社~ッ!
今回はフリウリから、「コッラヴィーニ」 4代目当主、ルイジ・コッラヴィーニ さん。
フリウリ大好きな人に、大いに語ってもらった。
彼の言葉をそのまま記そう。
(ちょい長めですねん。)
フリウリは白ワインの産地として有名だ。 何故かというと地理的に、海と山の中間にある。暖かい海、そして冷たい山の影響をストレートに受ける。
アルト・アディジェやピエモンテは山に近いが、海からは距離的あるいは地理的に遠い。
前者は距離的に、後者は地理的に、遠い。
フリウリから海までは近いし、山など遮るものがないから、そのどちらの影響も受けやすい。
違いはそこにある。
山の寒さはワインを引き締め、海の温かさはワインにふくよかさを与える。
これが、イタリアにおける 「白ワインの宝庫」 と呼ばれる所以だよ。
コッラヴィーニ は1896年創業だから 今年、120周年を迎える。
創業者である エウジェニオ は僕のひいおじいちゃんで、他の造り手もそうであるように、当時はほとんど地元で消費される ワインメーカーだった。 僕の父の代から輸出を始めて、今では150万本を生産、53か国へ販売しているんだ。 ワインの売り方に はっきりとしたビジョンがあったんだろうね。
イタリアに、今で言う 「国際品種」 を持ち込んだのは ナポレオンだが、その国際品種の台頭によって、土着品種である リボッラ・ジャッラ や フリウラーノ が忘れられた時代があった。
理由は実に簡単で、国際品種の方が 「栽培が容易」 だからさ。
その忘れられていた品種、リボッラ・ジャッラ を甦らせたのが、コッラヴィーニ なんだよ。
だからほら、ウチの住所は、「Via della Ribolla Gialla 2 (リボッラ・ジャッラ通り 2番地)」 って書いてるだろ?

じゃ、ここからは テイスティングしながら話そう。
シャルドネ・デイ・サッシ・カヴィ 2014
さっき言った通り、国際品種とは切っても切れない土地柄だから、その筆頭であるシャルドネ は、ウチにとっても重要なワインなんだ。
シャルドネが持つ強い果実味を素直に活かし、品種特有の 「酸」 を残すために、発酵や熟成に 樽は使わない。
丸谷 「フリウリの他の造り手のものと比べて厚みがあるが、それは樹齢によるもの?」
いや、それは テロワール の厚みさ。 ここは元々海底だった土地で 粘土質だ。 岩のように見えるが、粘土が風化し固まったもので、痩せた土地だがブドウに必要な栄養素を多く含んでいる。 厚みを感じるのは、そこに由来する 「複雑み」 だろうね。
この畑には昔からトカゲが多くてね。 別にビオロジック を謳っちゃいないが、小動物が多いのはビオロジックで栽培している証拠だよね。 だからというわけじゃないけれど、このワインは昔からこの トカゲのラベルさ。
フリウラーノ 2014
フリウリ人が最も日常的に飲んでいるのがこのブドウ。 バールで出てくるのはたいてい、フリウラーノなんだ。 昔の名残りから、地元では今も 「トカイ」 と呼ぶよ。
実は タンニンの強いブドウで、ふくよかで フレッシュ、そして、余韻が長い。
苦みを伴うアーモンドのようなアフター。
リボッラ・ジャッラ “トゥーリアン” 2014
リボッラ・ジャッラは、フリウリ最古のブドウ。
近くの修道院、「アッバツィーア・ディ・ロサッツォ」 に所蔵されている文献に、リボッラ・ジャッラ の栽培についての記述があり、その土地が 「トゥーリアン」 という名だったことから、品種のルーツであるこの名前を冠した。
このブドウはとにかく 繊細でデリケート。 収量を抑えないと薄っぺらいワインとなる。
だが、長い経験と的確な収量制限により、もっともフリウリらしさを表現するワインへと昇華するんだ。
ワインが繊細なので、合わせる料理も繊細なものを。
例えば魚なら、グリルよりもボイルしたものを。
それから、今の季節なら、ホワイトアスパラ! 地元でも ホワイトアスパラにはリボッラを合わせているよ。
丸谷 「ブレンドワイン (後述するブロイのこと) にリボッラ・ジャッラをブレンドしないのはどうして?」
リボッラ・ジャッラ は特別なブドウさ。 100%ピュアに醸してこそ、その品種の良さが解る。
デリケートなブドウだから、ブレンドの世界には巻き込まないんだ。
さぁ最後のワイン、ブロイ 2013 だ。
ウチでは唯一の、ブレンドワイン。
フリウラーノ50%、シャルドネ30%、ソーヴィニョン20%。
ステンレスでの熟成を経る。
実は2008年ヴィンテージまでは、「40%、40%、20%」 の比率で、しかも熟成にバリックを使っていた。
2009年からは、ブドウの良さを引き出すために可能な限り、人の介入を排除するようにしたんだ。
そして、フリウリ固有のブドウ品種の比率を高くした。
「フリウリらしさ を世界へ!」 これが大事なんだよね。
うまく熟したフリウラーノ は南国のフルーツのようなニュアンスをもたらす。そこに、シャルドネの力強さ、ソーヴィニョンからは爽やかさを授かる。
まるで 「強さの中を爽やかな風が走り抜けるような」 味わい。
料理は、ソースを使った 手の込んだお料理にももちろん対応できるし、鶏肉やサラミ、焼野菜、「ヴィテッロ・トンナート」 や 「アクアパッツァ」 なんかにもいいね。
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いやぁ。 いっぱい喋ってもらった!
コッラヴィーニ は昔から知っていたが、「リボッラ・ジャッラ」 のイメージは ほとんどなかった。
大いに勉強になったし、これほど集中力の高い リボッラ・ジャッラを、僕は他に知らない。
彼の、「ブレンドの世界には巻き込まない」 という言葉には、この品種に対する 「愛」 を感じたね。
それなりの値段ではあるが、手の届かないものではない。
このワインは それで良いと思う。
日本大好き! が滲み出ているルイジさん。
この滞在が、良き思い出となりますように。
~ 業務用イタリアワインなら、エノテカビアンキ。 造り手の想いを、そのまま伝えるねん。~