ディナーレポート、その2。
バローネ・ディ・ヴィッラグランデ のレポート、コピペ~ッ!
(長いので、ヤな人はスルーしてね。)
11月19日 来阪し試飲会を行ったエトナの造り手、ヴィッラグランデ 当主マルコ・ニコロージ夫妻。
彼で10代目というから、エトナでもかなりの歴史を持つワイナリー。
カンティーナのある場所は、エトナ山の東側に位置する 「ミロ」。山の北と南は エトナ・ロッソ の産地として名高いが、ここ ミロは主に、白の産地として知られる。実際、北と南では、赤が80% で白は20%。 ミロは、白が70%、赤は30% の割合となる。
この違いは、ひとつには 「降雨量」 が影響している。北と南の降雨量は、年間400ml から 800ml であるのに対し、東側の ミロは、1,200ml から 2,500ml。
また、気温にも大きな差がある。他は、赤に適した気温であるがために白にとっては暑くなりすぎ、白ワインに複雑みを与えない。ミロは白ワインにとって不可欠な 「フレッシュさ」 を高いレベルで享受する、約束された場所。
このミロに、カンティーナと自社畑を所有しているのは、このヴィッラグランデ だけであり、エトナでは数少ない、「エトナ・ビアンコ」 のスペシャリストなのだ。
また、軽く見られがちな 「スーペリオーレ」 についても、彼は熱く語った。 「スーペリオーレ」 はミロの中でも特定の場所で造られた白ワインにのみ、表記することができる。
つまりヴィッラグランデ は、エトナ・ビアンコ の個性を最も的確に表現する場所に畑を所有し、かつ、唯一の 「スーペリオーレの造り手」。
エトナ・ビアンコ における 「スーペリオーレ」 は、ヴィッラグランデ の代名詞でもあるのだ。
試飲会を終えた夜、北堀江のシチリア料理専門店 「クチーナ・イタリアーナ・ウエキ」 で彼らと夕食を共にした。
食事のはじまり、彼らは乾杯に、「ムルゴ・ブリュット」 を選んだ。ネレッロ・マスカレーゼ で造られた メトド・クラッシコだ。
マルコ: 「ネレッロ・マスカレーゼで造ったメトド・クラッシコは、エトナでは伝統的なものなんだ。あまり知られていないけどね。でもこれは理に適ったことで、山の東側で造ったネレッロは、酸度が高い。黒ブドウにもかかわらず、ね。これが伝統的である理由で、乾杯に選んだ理由でもある。それともうひとつ、ムルゴを選んだ理由は、彼らとは古くからの友達だからさ(笑)」
食事がすすみ、プリモ・ピアットは魚介の2皿。
「魚介ラグーのリングイネ」、そして 「レモンのリゾット、赤足エビのグリル添え」 に、待ってましたとばかりに、彼らの 「エトナ・ビアンコ・スーペリオーレ2014」 が合わせられる。
リストランテのお料理とこのワインを合わせたのはこれが初めてだったけれど、何かが突出した感じではなく、優しく、バランスが整ったもの。このバランスこそが、ヴィッラグランデ の真骨頂。
マルコ: 「テロワールを反映させること。テロワールを活かすにはテクニックは必要だよ。でも、造り込まないことはもっと重要なんだ。あくまで、エトナの土地を素直に表現することなんだよ。」
彼らが造る赤ワインにも、ミロの個性が素直に反映されていて、強さによるものではなく、「優しさからくる個性」 を形成する。
セコンド・ピアットの 「イベリコ豚ベジョータ肩ロースのロースト」 には、彼らが造る 「エトナ・ロッソ2013」 が合わせられた。
なるほど確かに、赤もバランスが整っている。そのままでも優しくて美味しいが、このお料理とのアッビナメント は最高で、その良さは倍増した。
次は、メルロを主体にネレッロ・マスカレーゼをブレンドした 「シャーラ」。
ヴィッラグランデでは、シャルドネやメルロが少しずつ植えられている。これは、他の造り手ではあまり見られない。植樹したのはマルコのおじいさんで、樹齢は約80年。
エトナ山は、シチリアの中でも特異なテロワールを有する。 彼らのカンティーナがある 「650mを超える標高」 とは、アルト・アディジェ のそれに匹敵する。中でも ミロ は先述の通り、白ワインに適した産地であるが故に、メルロに関しても、他のシチリアで産するメルロと比べても細身で、優しい果実味を持ったワインとなる。優しい味わいはつまり、食事には不可欠な 「飲み心地」 へと直結するのだ。
マルコ: 「リコリスやチョコレートのニュアンス。品種からくる甘みとまろやかさ、そして <山のメルロ> が有する、飲み心地の良さ、これが大事なんだ。このワインを嫌いだなんていう人は、いないと思うよ。」
今、マルコは35歳。話す言葉ひとつひとつが自信にあふれていて、勉強熱心で、人の話に注意深く聞きいり、その質問に丁寧に答える、真面目なシチリアーノ。
奥さまのバルバラさんは、彼と出会うまではシャネルのミラノ支店で働く キャリアウーマン だったとか。そんな二人が出会ったのは、空港だった。
ワインを12本も持ち込もうとしたマルコは、手続きの途中で止められてしまった。
受付人に、「一人でそんなにたくさん持ち込めないわよ。なんだったら、後ろの人に半分持ってもらったら?」
なんて冗談を言われて、その 「後ろの人」 が、バルバラさんだったそうな。
バルバラ: 「でも手を貸したのは、彼に興味があったわけじゃなくて、彼のワインに興味があったの(笑)」
そんな微笑ましいエピソードも、楽しい食事に華を添えた。
バルバラ: 「日本はおもてなしの国、と聞いていたけれど、それはシチリアも同じ。でも日本はそこに、 <プロフェッショナル> が共存しているのよ。そこが凄いところね。
距離はあるけれど、日本はすごく近い感じがするわ。」
そう話すふたりの間で、同席した3歳の息子、トンマーゾくんは、やんちゃの限りを尽くすのであった。
3人の次回の来阪が、楽しみで仕方ありませんな。
夕食を彩ったお料理たち ↓
楽しい食事でした。
Grazie ! Marco e Barbara !
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