言わぬが花。
“ビオワイン” が出てきだしたのはいつ頃でしょうか?
よく、
「丸谷さんはビオワイン嫌いだから。」
なんて言われたりしますが個人的には、それらのワインに対してイエスでもノーでもない。
ただ、それを商売道具に使う造り手やインポーターが嫌なのであって、ワインがおいしければそんなのはどうでもいい。
また、“健全でないビオワイン” が世間に出回っているせいで、戸惑いを感じている消費者もあるとか。
以前あるインポーターが、“ビオワイン” について<造り手> に質問した時のこと。こんな回答がありました (この造り手はピエモンテ州でガヴィを生産していて ビオは謳っていません)。
「自分たちは先祖から引き受けた環境でブドウを栽培している。 そしてこの先、自分たちの子供や孫たちもこの土地でブドウを栽培し、生活をすることになるだろう。
そう考える自分たちが、土地に悪影響を及ぼすであろうものを 使ったりするだろうか。」
全くその通りだと思う。
つい先日の来日セミナーを含め 近年の造り手の話を聞いていると、今までそんなことを口にしなかった造り手まで “農薬不使用” を自主的に訴えるようになってきた。
何故か?
メディアや消費者からこのテの質問が絶えないから、 だと僕は想像します。
先の例にも出したガヴィの造り手のように、土地に根ざして優良なワインを造り続ける人たちにとって、そんなこと つまらないくらいにあたりまえの話だ。
あたりまえの話に貴重な時間を割くのはもったいない。僕だったらもっと他の話を聞きたいし、冷めた口調で形式的に話されるより、興奮して早口になったり、目をキラキラさせながら熱く語ったりしてもらう方が 聴いていて面白い。
それこそが、生の声を聞ける生産者来日の醍醐味なのだから。
関連することをもう少し。
造り手が“ビオワイン”をアピールする声が大きくなっている昨今、アピールの仕方も様々です。
裏ラベルに申しわけ程度に ちょこっと載せる程度のものもあれば、それだけでは飽き足らず、表ラベルにデカデカとアピールする造り手もいます。
そんな中、
テッラ・ディ・ラヴォーロ 2009(ガラルディ) のコルク
誰もが知るアリアニコの逸品。 このワインのラベル、裏にも表にもビオロジックを謳った表記はない。
コルクを開けて、飲んだ人にだけ、それが分かる。
“粋”だと思いませんか?
最高のワインを産する造り手は、液体だけでなくそれを取り巻くもの全て、その魅せ方にまでこだわる。
中には度を越して、あきれ返るくらいのものもあるけれど、
それこそが、イタリアなんですよね。