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イタリアワイン

フェルシナ 来日レポート。


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 長らく、造り手とインポーターがフィットしなかった感のあるフェルシナ。
 テラヴェールさんが扱うようになってようやく定着し、その品質の高さに改めて注目が集まっている。

 6月14日。
 フェルシナからアンドレア・ボニヴェントさんが来阪。 試飲会と夕食会をご一緒させて頂いた。

 フェルシナは1966年創業。
 その当時、イタリアワインは軽く見られ、キアンティは安いワインの代名詞だったが、
 創業者ドメニコ・ポッジャーリは、カステルヌオーヴォ・ベラルデンガのこの地で高品質ワインを造ることを決断した。

 と、この創業ストーリーからフェルシナの取り組み、エノロゴの話なんかは、インポーターの資料に詳しく記されているので、
 ここでは主に、彼と話した内容をレポートしよう。
 とはいえ、時系列に羅列すると話がまとまらなくなるから、まずはフェルシナとそれにまつわる名前の由来から。

<フェルシナ>

 まず、フェルシナは土地の名だ。
 しかもその起源は極めて古く、古代ローマよりも前に文明を築いた エトルスキ(エトルリア人)がその場所を認めている。
 紀元前7世紀の話だ。
 また、11世紀の書物には既に「フェルシナ」と記載されている 深い歴史のある名前なのだ。

<ランチャ>
 フェルシナの代名詞でもあるこの名は、カンティーナのすぐ近くの高台にある歴史的建造物、
 ベネディクト派の修道院の名前。
 そしてそれに因んだ、その真南に広がる単一畑の名前でもある。
 南向きの一枚畑で、フェルシナの中では最も標高の高い420メートル。
 水晶と砂岩を含む粘土石灰土壌に、ほんの少しガレストロ。
 ブドウの根はまっすぐに深く伸びる。
 この畑からは厳格なサンジョヴェーゼが生まれる。
 畑名を名乗るキアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ “ランチャ” は、若いうちはやはり硬いが、そのポテンシャルは計り知れない。


<フォンタッローロ>
 こちらは畑の名前ではない。
 フォンタッローロのブドウが栽培される畑のすぐ近くには泉があり、夕暮れ時にもなるとその泉が夕陽に照らされて美しく黄金色に輝いたことから、
 <Fonte all'Oro> 、フォンタッローロと名付けられた。
 サンジョヴェーゼ100%だが、キアンティ・クラッシコ・エリア と キアンティ・コッリ・セネージ・エリア のものをブレンドして造られるため、IGTを名乗る。
 彼らはフォンタッローロのことを 「スーパートスカーナではない」 という。
 その俗称が、骨太でフルボディのワインを連想させるのに違和感を感じるのだろう。
 フォンタッローロは、キアンティ・クラッシコ、しかもベラルデンガの持つしっかりとした骨格に、
 セネージの特徴である、香り高く、柔らかい味わいのサンジョヴェーゼをブレンドする。
 そうすることで複雑みが増した多面的で、エレガントなサンジョヴェーゼとなるのだ。



 と、ここまではいわゆるフェルシナのトップワインを説明したが、
 特筆すべきは、
 彼らの名刺代わりともいうべき、<キアンティ・クラッシコ> の上質な安定感だろう。
 昨日のブログにも登場した 「ズッパ・ディ・チェーチ」 はもちろんのこと、


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ピチ ラグー・ビアンコ にも、


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赤牛のタリアータにも、


 もう何を口に含んでも寄り添ってくれる懐の深さ。
 ここにフェルシナの凄さがあるのだと思う。
 もちろん、この夕食会のお料理を提供して下さった シェフが放つ <トスカーナ愛> の結晶でもあることは、言うまでもないけれど。

 アンドレアさんの今回の来日で、フェルシナが日本中に広がるための材料が全て揃った。
 つまり、
 造り手とインポーターの強い信頼関係に加え、
 酒販店とレストランへの知識の向上と、どんな人が造っているのかを知ることができた。
 これで レストランでの露出度が高まらなければ、
 担当さんも僕たち酒販店も、言い訳が立ちませんぜ!
 なんて、自分にもプレッシャーかけてみた w

 楽しい夜をありがとう。 アンドレアさん ♬
 最後に、アンドレアさんの印象に残ったふたつの言葉で、このレポートを締めよう。

「日本人の持つ、相手に対する尊敬の念、
 そして料理のセンスはすごいと思う。
 今回の来日ではディナーを3回、レストランで楽しんだけれど、
 驚いたことにその内の実に2回までもが、ランチャを魚料理に合わせてきた!
 そしてそのどちらも、素晴らしかった!
 そのワインを深いところで理解していないと この <チャレンジ> ともいえるアッビナメントはできないよ。」

「今の時代、世界には <高価なワイン> だけを買い漁る国民もいるが、
 日本人は <文化> を重んじる。
 それもまた、尊敬すべき国民性だ。」


 マーケットにおいて、アジアの牽引役は日本ではなくなったかもしれないけれど、
 日本人をこのように想ってくれている造り手は、きっとたくさんいるのだろうと思う。
 互いにリスペクトし合えば、<イタリア愛> に溢れたお客さんが増えて 日本のレストラン事情はもっと面白いことになる。
 そんな国になると、イイよね ♬

業務用イタリアワインなら! エノテカビアンキッ!! 日本ファンの造り手を、増やそうじゃないか ♬ ~


by enotecabianchi | 2018-06-16 20:09 | 造り手との食事。 | Comments(0)

by enotecabianchi