レ・チンチョレ 同行レポート。
ちょっと前に来日した、レ・チンチョレのオーナー、ルカ&ヴァレリア夫妻。
彼らと大阪市内を巡った 「同行営業レポート」 ができたので、今日はそれを。
毎度のことながら、レポートを書くと長くなる。
だから、今日と明日、2回に分けることにした。
それでも長いから、悪しからず。
~ レ・チンチョレ 同行営業で知ったこと ~
<パンツァーノ>
エリアとしては「グレーヴェ・イン・キアンティ」に括られるが、グレーヴェとはあまりにも違う地勢を有している。まず、標高が違う。パンツァーノは400~500メートルだが、グレーヴェはもっと低い。その影響から、平均気温も5℃は違う。
パンツァーノはだから、グレーヴェとは切り離して語られるべきと思うが、これはパンツァーノの住人だけが言っていることではない。各ワイン評価誌も地域を分けているものもあるし、実際、グレーヴェとパンツァーノを分けて考える動きは、50年以上も前から存在した。
ブドウ栽培面積700ヘクタールを有するパンツァーノ。なんとその90%が有機栽培として認められているというから、造り手全体の意識の高さが窺える。そしてこれは、世界的に見ても非常に高い水準である。
ワインだけでなく、生活を取り巻く全てにおいて、ビオロジックであること。
例えば、学校の給食や道路のメンテナンスに使用される薬剤などにも。
この活動は現在、トスカーナ全域にまで波及していて、その起源は、農業コンサルタント、ルッジェーロ・マッツィッリ氏の提唱によるもの。<持続可能な農業の実践>をコンセプトとしており、「この人物がいなければ、今のパンツァーノはない」と言われるほど。
ちなみにヴァレリアは、そんなパンツァーノの生産者協同組合の現会長を務める。
パンツァーノの住人は、そのような土地で生活していることを深く理解し、業種が違っても、その意識は高い。
ワインにおいては、パンツァーノの造り手はみな、「ウチのカンティーナは」とは言わず、「パンツァーノでは」と言う。それだけ、パンツァーノという土地に対する愛情が深い。
そんなパンツァーノでワイン造りをしているレ・チンチョレだが、二人がここに居を構えたのは、なんと偶然であった。
<レ・チンチョレ>
19歳の時、ゲレンデで出会ったルカとヴァレリア。その時はまだワイン造りをすることは考えてもいず、ルカはローマで測量士の事務所、ヴァレリアはミラノで、リフォームを主とした建築士の仕事をしていた。
幼い頃からモノを作るのが好きなルカは、漠然と、いつかワイン造りを生業にしたいと考えていた。そんな中、一週間、トスカーナに新婚旅行に出かけた二人は、その風景を大いに気に入り、「ワイン造りはトスカーナで」と決め、その後、物件を探し始めた。
そうして見つけたのが現在のカンティーナで、7ヘクタールのブドウ畑付きだったが、当時、建物はとても住める状態ではなく、修復が必要だった。
ヴァレリア
「とにかくボロボロで住める状態じゃなかったの。でももしきれいな建物だったら売りには出ていなかっただろうし、出ていたとしても、もっと高かったと思うわ。私たちは運が良かったの。」
パンツァーノは意外にも、海外やイタリアの他の地方から移り住んだ人が多い。アメリカやドイツ、また、ナポリ出身のジョヴァンニ・バッティスタ・ドルシ氏(カーサロステの当主)とは特に仲が良いのだそう。
ルカ
「もう一人のジョヴァンニ(フォントディの当主、ジョヴァンニ・マネッティのこと)とも仲が良くて、彼とは自転車仲間だよ。」
レ・チンチョレのファーストヴィンテージは1992年。ご存知の通り、世間では良くない年とされているが、レ・チンチョレも例に漏れず、収穫前からずっと続く雨、雨、雨。
ルカ
「苦心して実ったブドウと畑を眺めながら、雨が降りしきる中、二人で泣いたよ。俺たちの人生、終わったな、ってね(笑)。
でも幸いなことに、的確なアドバイスをくれるスイス人のバイヤーが来て、造ったワインを彼に飲んでもらったら、『マグナムにボトリングしなさい。』って言われたから彼に聞いたんだ。『マグナムってなんだ?』 経験はもちろん、当時はそれくらい、知識がなかった。 それで、彼に言われた通りにマグナムボトルに詰めたら、なんと彼がそのワインを全て買い取ってくれたんだ。いや~、助かったよ。」
翌年の1993年、全て黒ブドウを使ってキアンティ・クラッシコを造ったら、それがスペクテイター 88点を獲得、世界が注目するきっかけとなった。
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ここまで、前半終了。
明日は、<キアンティ・クラッシコ>、<リゼルヴァと グラン・セレツィオーネ> についてレポートします。
画像がないと寂しいので、
同行営業の〆、ロスティッチェリア・ダ・バッボ さんの、ワインに合いまくるお皿の数々を。
明日もお楽しみに~。
~ 業務用イタリアワインなら、エノテカビアンキ でっせ~。~