木下くんのセミナーレポート。
先週初来日し、セミナーと同行営業をした レ・チンチョレのお二人。
先にウチのスタッフ、木下くんが参加したセミナーのレポートが仕上がったので、それをアップしますね。
僕のレポートはまだですねん。。。
では、どうぞ!
~ レ・チンチョレ来日セミナー ~
当主:ルカ&ヴァレリア・オルシーニ氏 講師:内藤和雄氏(ヴィーノ・デッラ・パーチェ)
2015年 7月 8日(オピュームにて)
カンティーナはシエナとフィレンツェの間、標高400m~500mの 「パンツァーノ」 に位置します。パンツァーノ は日当たりが良く、風当たりもよく、標高が高いため昼夜の寒暖差もあり、グレーヴェ の中では誰もが憧れる一番の土地、と称されています。
またどんな状況下においても石灰土壌から得られる養分でワインにふくよかな酸をもたらすことができる、というのもこの土地の特徴です。
現当主のルカ氏は以前違う職に携わっていましたが、人生そのものを大きく変えたいという強い思いで、1991年よりこの地でワイン造りを始めます。
ワイン造りの方針は大きく分けて二つあり、まず一つはその地方の伝統に従うということ。すなわちサンジョヴェーゼを主体としたワイン造り。
そしてもう一つは有機農法。ブドウを栽培している土の個性や土地の性質をワインに表現することを大事にしています。
~テイスティング~
<ロザート・トスカーナ 2013>
フレッシュで赤い果実のニュアンス。グロゼイユの香り。軽やかで酸がしっかりしていて辛口でほどよいミネラル。ネガティブな要素がなくきれいな味わい。
相性のよい料理は、パンツァネッラ、にんにくのきいたトマトサラダ、グアンチャーレの出しで作ったシンプルなズッパ、パスタインブロード、ブルスケッタ、カプレーゼ、ガスパチョ、レモンの酸がきいた カルチョーフィのサラダ。
<チンチオロッソ 2011>
2009年から造り始め、唯一サンジョヴェーゼに国際品種をブレンドしたワイン。
70%がサンジョヴェーゼで残りはカベルネ・ソーヴィニョンとメルローとシラー。
畑の位置付けをしていない樹齢の若いブドウを使用。樽熟させずできたてのワインを表現し気軽に飲めるワイン。
明るいルビー色。赤い花やスパイスの香り。フレッシュな酸とミネラル。タンニンはきめ細やかでアフター長い。ボルドーグラスに注いでも優雅に飲めるようなカジュアルすぎない味わい。
相性の良い料理は、フィノッキオのサラミ、パッパ・アル・ポモドーロ、カーボロネロを合わせたレバーペースト。ペコリーノチーズをかけたズッキーニのパスタ。グリーンピースとパンチェッタの蒸し煮。ナムルやゼンマイ。砂肝をオイリーに仕上げた料理。
~キアンティ・クラッシコ~
レ・チンチョレのワイン全生産量約5万本のうちおよそ半分の2万5千本がキアンティ・クラッシコです。このキアンティ・クラッシコを一番大事にし品質を落とさないように努力しています。そして伝統にこだわり敢えてサンジョヴェーゼ100%で造っています。
<キアンティ・クラッシコ 2012>
2012年は少し冷涼でしたがスタンダードな年。
明るい色で花の香り。柔らかくバランスよく充実した酸味。タンニンもきめ細かい。
相性の良い料理はトリッパやパッパルデッレ。
<キアンティ・クラッシコ 2011>
2011年はとても暑く干ばつの被害もあり。ブドウの収穫前から日照りが続き、ブドウにストレスがかかりワイン造りの難しかった年。ブドウの選別に時間をかけ、全体の40%は破棄し後述する ペトレスコは造らず、ペトレスコ用のブドウはキアンティ・クラッシコに回し品質を保ちました。
2012年より色が少し濃くボリューム感があります。暑い年ですがブドウをセレクトして使っている健全さもフレッシュな味わいとして感じられます。
相性の良い料理はパスタ・エ・ファジョーリ、トマトと香味野菜のパスタ、リコッタとホウレン草のラビオリ・ヌーディ。
~ペトレスコ~
もっとも標高の高い一か所の畑からおよそ90%のブドウを使用。一番良いブドウだけを使い、ブドウの出来が良い年だけにリリースされるサンジョヴェーゼ100%のワイン。
セメントタンクで熟成された後、古いバリックで熟成されます。サンジョヴェーゼはデリケートなブドウなので新樽は使わないようにしています。
そして2008年まではラベルに 「キアンティ・クラッシコ・リゼルヴァ」 と記載されていますが2009年からは記載されていません。 これは造り方や中身が変わったからではありません。 2010年のワインから 「キアンティ・クラッシコ・グラン・セレツィオーネ」(C.C.G.S.) と新たな格付けが作られました。C.C.G.S.の規定の中には 「自社ブドウ100%使用のワイン」 というものがあります。ルカ氏は ペトレスコをリリースして10年、ずっと自社ブドウを厳選しとても苦労してこのワインを造ってきました。 ルカ氏にとっては元々自分がやってきたことがC.C.G.S.となること自体に違和感と憤りを覚え敢えて格付けを名乗るのをやめました。
<ペトレスコ2009>
やや暑かった年。アルコールや残糖度はやや高め。2008年に比べ色が濃い。乾いた香り、ミネラル、鉄分を感じバランスのとれた味わい。2008年よりは早く飲み頃をむかえる。
<ペトレスコ 2008>
みずみずしくフィネスを感じ包容力のある味わい。
2009年とともに相性の良い料理は牛肉のトマト煮込み、ミネストラ、塩でマリネした豚肉のアリスタ。北京ダック。
<カマライオーネ 2007>
カベルネ・ソーヴィニョン70%、シラー15%、メルロー15%。
国際品種のみでテロワールを表現しようと挑戦。2003年よりリリース。
この2007年は暑かった年にもかかわらず酸化のニュアンスがない。
黒果実やクワの実、ダークチェリーの香り。アフター長く、酸やミネラルもフレッシュ。
相性の良い料理は、フェガテッリ、ナスのパルミジャーノ、厚めのサラミ、ナッツの香りの効いた赤身の肉料理、ローズマリー風味のサルシッチャのパッパルデッレ、うなぎのかば焼き、八角風味の豚の角煮。
~感想~
内藤氏の発想力、表現力には卓越したものを感じられました。限られた時間で後半は慌ただしく終わったセミナーでしたが、ルカ氏はずっと穏やかな様子だったのが印象的でした。自信と強い信念をもってのワイン造り。心地良い酸と親しみやすい味わい。人柄の感じられるワインでした。
木下 誠吾