耳を澄ませば。
ネッビオーロからはいくつものワインが造られますね。 代表格はやっぱり 「バローロ」 や 「バルバレスコ」、最近なら 「ロエーロ」 はほぼ定番になりましたし、DOCGの 「ガッティナーラ」 や 「ゲンメ」 は時々見かけます。
ほかには?
いっぱいありますね。 若い頃に勉強した 「ボーカ」「ファーラ」「カレーマ」「レッソーナ」。
でもそのほとんどがその当時、輸入されていなかったか、されていてもほとんど流通していなかった。
そしてこのワインも。
ブラマテッラ 2005(アントニオッティ)
ネッビオーロを主体に、クロアティーナやヴェスポリーナなどをブレンドして造られる伝統的ワイン。
やたらおいしい。
ミネラルを強く感じるのは、この地が火山性の地質だからとか。
同じぶどうで造られるバローロとは比べものにならないくらい、造られている量も少ないし、知名度もない。 でもこういったワインこそ、僕達が広めていかないと、と思ってしまいますね。
とはいえ、使命感だけで扱ったのではないことは、飲んだ人には分かります。
「売りやすいワインだけを扱ってちゃ、ダメなんだよ。」
そう、僕の昔の上司は言いました。
その通りだと思います。
売りやすいワインは、試飲会でたくさん見つけることができます。 このワインが仮に試飲会に出ていたなら、スルーされること間違いなし、です。 このワインが発する「か細いけれど芯のある声」は、試飲会という雑踏では聞くことはできません。
ワインリスト更新時期にはこうして、1本のワインにだけ向き合うことが多くあります。 がっかりすることが多い中、地味に光る個性を探し出したときの歓びはひとしおです。
ワインリスト2月号、できました。 近々お手元に届くのを是非ご期待下さい。