ソアベとは違うのだよ!ソアベとは!!
はい。ガンダム世代です。
ランバ・ラル万歳。
サン・ヴィンチェンツォ2009(アンセルミ)
ロベルト・アンセルミがソアヴェ協会を脱退し、生産する全てのワインを「ヴェネトIGT」としてリリースしていることは周知の事実ですが、そこには 悲しみの果てに辿り着いた理想がありました。
2000年8月号のヴィノテークに掲載されていた記事を抜粋します。
「私はソアーヴェのクオリティを高め、スタイルを確立し、ソアーヴェ地域のワインを世界舞台で重要な地位に押し上げ、その品質を認めてもらおうと世界中でプロモーション活動をしてきた。そのために畑に心血を注いで栽培方法を改め、収穫量を抑えた結果の実践を披露し、25年も頑張ってきた。しかし今、この地域の大多数の生産者の意識と姿勢は何も変わらない。 ~中略~ DOCソアーヴェは並のワインでしかないことが恥ずかしい。だからさようなら。ソアーヴェ・ワインとはきっぱりと別れを告げた。絶対に戻ることはない。」
そして彼はインタヴューをこう結びます。
「私は私の自由を取り戻したい。改善の自由を、縛られず上等のワインを造る自由を、障壁も規則も官僚も関係なく より良い剪定で畑に取り組む自由を、清廉な市場をつくり出す自由を、情熱とファンタジイを妨げるもののなくなった私の畑で 素晴らしい白ワインのための自由を取り戻したいのだ」
ロベルト・アンセルミとは2度、食事をご一緒させて頂いたことがあります。だから僕は一方的に ロベルト、とこう呼ぶようにします。
ソアヴェ協会の事となるとやはり表情が曇るロベルトですが、食事の時には終始センスの良いジョークで場を和ませます。お料理をたらふく食べ、その後のワインバーで一人、ワインをガブガブ飲みながら大皿の生ハムをペロリと食べてしまうその豪快さには、驚かずにいられません。
そしてロベルトもまた、人とのつながりに重きを置く人で、日本人で初めてカンティーナのドアを叩いた人物のことを、20年近く経った今でも鮮明に覚えているようです。
サン・ヴィンチェンツォは、そんな彼が造る最もスタンダードなワインですが、その味わいはロベルトの人柄そのものです。余計なことを考えず、とにかく品質を重視した「潔さ」のようなものが感じられます。大笑いするような豪快さはないにしても、大らかで優しい果実味、ヴィンテージを反映してか、少し高めの酸がお料理を引き立てます。
こういった造り手の努力を目の当たりにすると、彼らの情熱こそが第一であり、その表現方法はそう大きな問題ではないように思えます。“素晴らしいワインを造りたい” という気持ちは、ロベルト・アンセルミも、ソアーヴェの旗手 レオニルド・ピエロパンも同じなのだから。
ちなみにタイトルの「ソアベ」は、安っぽいワインを演出するための表現で、ウチのリストでは Soave は 「ソアヴェ」となりますので、悪しからず。
また、タイトルのセリフを書きたかったがために、このワインを選んだわけではありません!こちらも悪しからず(笑)。
そういやロベルト、ちょっとランバ・ラルに似てるな (あ、ヒゲだけか・・・)。